Photo by Shinkenchikusha
Photo by Shinkenchikusha 2階執務室。8mスパンの梁は、富岡から切り出したモミ材を組み合わせた張弦梁となっている。できるだけ集成材を用いず、富岡の森の材料をそのまま活かせるようにしている。また縦ログ壁についてモミ材を利用し、スギ材とは異なる表情をつくり出している。
Photo by Shinkenchikusha 執務室吹き抜けを見る。中庭、吹き抜けを通して執務室の上下階が繋がり、一体的となるようにしている。
Photo by Shinkenchikusha 南西側より外観を見る。会議室(道路側)はスギ材による縦ログ、執務室(南側)はモミ材による縦ログで、会議室のみ内外木材現しである。
2地域に跨り避難期間を支える拠点
震災直後、富岡町民の2か所目の避難先となった郡山市は市内に富岡町の仮設庁舎が置かれ、F社にとって避難期間のもうひとつの拠点を置く背景となった。今回、富岡町の避難者でもある友人から敷地の一部を譲り受け郡山社屋の建設に至った。
富岡社屋との共通点は、富岡の森で伐採した木材をすべて活用することであるが、縦ログ構法に適するスギ材は富岡社屋への割り振りを優先し、残りのスギ材とヒノキ、建築材料としてあまり使用されないモミ材も活かすことを初期に設定した。
平面計画の中で、不整形の敷地形状をカバーすることや、隣の(友人が経営する)店舗との同居を図りながら、業務に必要な駐車台数の確保等が課題となったため、2階に配置した会議スペース下部を駐車スペースとして活用し、ピロティの下から中庭を抜けて南側に延びた執務空間が見える計画とした。2階執務室の小屋組みの構造は、6.5m長にしたモミ材を使用し連続する張弦梁の一室空間をつくり出した。