富岡の家

先祖代々の森の木からの家づくり

今回の新築で用いた骨格となる柱材、梁材、床材はすべて、E家の父が高校時代に植樹した50年以上建った杉、ヒノキ材を利用しています。伐採した利点を生かすために、材料取りについても、力強い太さ、幅をとりました。
残念ながら本住宅は東日本大震災による津波で流出しました。蔵のみが敷地に残りました。

建物概要
用途:住宅
所在地:福島県富岡町
延床面積:157.62㎡(2階建)
構造:木造在来構法
施工:芳賀沼製作
設計:はりゅうウッドスタジオ
総工費:

南側外観。

キッチンダイニング。夫婦2人で作業してもゆとりのスペースに計画。

リビング。建具を閉めたところ。建具の向こう側は、家族のプライベートスペース。寝室や、水廻り等の動線になっている。

リビング。建具を開け放ったところ。吹き抜けからの光が落ちる。

2階子供スペース。高窓からは朝日が差し込み、屋上に出ると、太平洋を望むことができる。

母屋から新居を見る。新居の外壁の焼杉板は、庭の借景となる。

設計コンセプト
E家が住みついできた敷地の中で、子世帯の住宅をつくるプロジェクトである。まず、敷地内の利用の検討から始まり、1.既存の母屋を区分し、同居する。2.離れの蔵の脇に建物を計画し、蔵とつなげる。という二案で検討後、2の蔵の案で進むことが家族会議で決定した。
蔵の脇に建てる案は、母屋からの南側に位置するが、高さを押さえ、建物を塀のように見せることで、圧迫感のないボリュームになるように配慮するとともに、外壁に、焼杉を貼った。焼き杉の板塀の隙間からは、子世帯の明かりがもれ、お互いの雰囲気を程よく感じることのできる関係をつくり出している。
また建物は、高さを押さえるために平屋とし、構造のシンプルさが表現されるようにした。屋上に、将来デッキがつくれるように、勾配の緩い屋根としている。
今回の新築で用いた骨格となる柱材、梁材、床材はすべて、E家の父が高校時代に植樹した50年以上建った杉、ヒノキ材を利用している。伐採した利点を生かすために、材料取りについても、力強い太さ、幅をとるようにしている。建築前の冬に山に入り、施主立ち会いのもと伐採を行っている。また、板材を建具の鏡板にも利用し、家全体の中でE家の受け継がれた材料を使うことが出来た。
近年、国産材の価格が下落することにより、後継者不足の問題もあるが、E家で代々受け継ぐことで、山の管理についての考えを 伝えていくことができるのだろう。
竣工後の秋E家の全員で伐採した森の跡地に新しいヒノキの苗を植樹した。

 

PAGE TOP