紀行②ではまず旅の目的でありました、国際交流基金による巡回建築展「3.11-東日本大震災の直後、建築家はどう対応したか」のアルメニア展示と源栄先生・芳賀沼が参加しました講演の様子をレポートしたいと思います。
今回の会場は、アルメニアの首都エレバンの中心部に位置する、「アレクサンドル・タマニアン・リサーチ・インスチチュート・ミュージアム」と云う、都市建設省などが入る政府機関に付属する建築博物館です。アレクサンドル・タマニアンとはアルメニアで最も有名とも云える建築家で、ロシアやエレバンの中心地の共和国広場やオペラ座など現在でも多くの市民に多く利用させている建築作品や都市計画などに関わった方です。博物館はアレクサンドル・タマニアンの曾孫にあたる、ハイク・タマニアンさんが館長を務めていらっしゃいます。
今回の展示会場の設営はハイクさんが中心になり博物館のスタッフの人たちの手で前回の展示会場であるモスクワから届いた模型やパネル等を急ピッチで行われたそうです。
展示会場はアルメニアの建築の歴史知る事ができる写真なども飾られ、私たちにとっても刺激的な会場となっていました。
またスタジオが関わる「KAMAISHIの箱」・「南相馬市の塔と壁画のある集会施設」「二地域居住」の3つのプロジェクトも隣同士で展示されていて、この模型やログ材の展示に、日本より持ち込んだ「木造仮設住宅群」の日本語の本・英語版の冊子、「3.11万葉集-復活の塔-」も一緒に置いて頂きより内容を楽しんでいただけるような展示となりました。
オープニング当日には地元の建築関係者や専門家、アルメニア政府関係者、建築学生や日本語を勉強する地元学生、アルメニア在住の日本人、バックパッカーでアルメニアに滞在中の日本人や他にも多くの人や報道関係者などが会場に訪れ、活気あるオープニングとなりました。
オープニングの挨拶等の後、30分程各々で展示を見る時間が設けられ、いよいよ今回のメインイベントでもある源栄先生と芳賀沼による招待講演がはじまりました。実はアルメニアへ向かう前日まで日本でプレゼ資料の調整を行い、日本語・英語の資料を現地に送ってもらっていたのですが、こちらで連日アテンドして頂いた通訳のルザン・ホジキャンさんによりすばらしいアルメニア語のパワーポイントの資料になっていました。
講演は源栄先生、芳賀沼、アルメニア都市建設省の方の順に行われました。
まず、源栄先生は旅の中でみた現地の建物などの特徴などを挙げながら、今後アルメニアで必要であろう地震防災の考えかたや災害教育の必要性などを自身の専門分野を交えた講演で同行した自分たちにとっても勉強になる内容でした。
続いて芳賀沼の講演は、東日本大震災直後の様子や3.11以降に行ってきた活動などをそこで暮らす人々や利用させる現在の様子を写真や音楽を交えての説明となりました。最後に示した富岡町の誰もいない町に桜の花びらが降り積もる様子では写真をみて泣かれている方もいらしたのがとても印象的で、今回の旅がとても重要な機会であることを改めて感じました。
最後に都市建設省の方の講演ではアルメニアが抱える地震や原発を持つ国としての問題意識などが日本と共有できることを挙げ、日本で進む地震対策の技術に対してアルメニアではどのように対策を行っていくかや現在行われている取り組みなどの講演が行われました。
講演後は3者に対して現地の方々より様々な質問があり、それぞれ源栄先生や芳賀沼が質問に応じて対応しました。
講演後は立食形式の懇親会があり、会場に訪れていた様々な方々とお話をする機会もあり、無事今回の目的である日程を終えることができました。
オープニングイベントの終了後はアルメニア在住の日本の方や通訳の方々、展示に際してアルメニア入りされていた日本人の方などと一緒に共和国広場を望むオープンテラスのバーで打ち上げとなりました。恐らくアルメニアで一番日本人の密集度が高い場所となり、アルメニアでの最後の夜を楽しみました。