過日は6月16・17日に芳賀沼・田中・早川、そして4月からスタジオに手伝いに来てくれていた村越くんの4人は岩手県釜石市・大槌町・青森県八戸市でそれぞれある予定と同時に震災から1年余りが経過した東北沿岸部を見るために一路北上しました。
最初に訪れた釜石では、昨年竣工した「KAMAISHIの箱」にスロープを設置するための下見・実測を行う目的です。
この青葉通り大只越公園の「KAMAISHIの箱」は、昨年の6月4・5日に難波和彦先生・岩間正行さん・妙子さん・浦部智義先生と大学院生数名と共に当時まだ津波の爪痕が残る釜石市内の状況を見ながら、この敷地に訪れたのがはじまりです。
竣工から半年が経過したこの場所では、コンサートやいくつかのイベントが開催され、また、インターネットカフェとしての運営もはじまるなど箱の使用感や外壁である焼杉の経年による落ち着きのある色へ変わる様子などと共に、仮設建築で再開された商店街や近隣にある子供支援センターと合わせて、釜石復興の一つの拠点としての利用される様子が伺えました。
次に向かった大槌町は打ち合わせのために訪れました。
大槌町は当時津波被害等を受けた家屋の多くが解体撤去が進み、残された基礎とそこに根付く雑草が、時間の経過と被害が広範囲に渡っていたことと感じさせられる景色でした。
岩手県での予定を済ませた一行は再度北上し、八戸市へ向かいました。
八戸では、みちのくの風2012青森(日本建築学会東北支部大会)内でおこなわれる「前夜の東北から考える震災後のパースペクティブ」と題する講演及びパネルディスカッションに芳賀沼が招待講演者として参加するためです。
この講演及びパネルディスカッションは仙台高専の坂口大洋氏、東北工業大学の大沼正寛氏をコーディネーターとして、講演者・パネラーとして明治大学の青井哲人氏、宮城大学の鈴木孝男氏、芳賀沼整(はりゅうウッドスタジオ)、司会には浦部智義氏(日本大学工学部)により行われ、それぞれの震災後の活動に基づいて震災後考えていることを講演し、自力再建の内容と復興の速度や内容が変わること、前例になぞらえながら考えることから、状況に応じて何もないところから考えや自分の行動を組み立てられること、復興に関する法制度をどう考えるかなどが印象に残るものでした(内容に関しては講演を聴講しての私見ですのでご了承下さい)。
前日の釜石・大槌につづくこの講演会の聴講となり、現在スタジオで行う活動の立ち位置やこれからの課題、今後できることなどを改めて考えされられる機会となりました。
早川