外観。 『富田林駅』南口より。
2 階展示スペース。規模は、10 ~ 15 人程度のワークショップ、2-3 名で即日に準備・撤収可能な催事などを想定した。
駅前通り側の主出入口から吹抜と案内カウンターを望む。
吹抜と観光案内カウンター。地域の伝統的建造物の意匠を引用し、地場産材も多用した。縦格子の多用により上昇感と繋がりを意識した。
1階交流スペース2。通り側と奥で天井高と素材により、土間をエリア分けした。
2 階・多目的スペース。奥の展示スペースとの繋がりは重伝建地区の「あてまげ」を参照した。
2 階・展示スペース。多目的スペースと心象を変えるため、縦格子に和紙貼を施した。
観光案内カウンター前の交流スペースの賑わい。
設計コンセプト
大阪・南河内の『富田林市』に計画された、市全域の観光文化交流の拠点施設である。富田林市は、大阪府で唯一の重伝建地区『寺内町(じないまち)』を有し、推古天皇、空海、西行などの足跡が残る歴史ある地域である。
敷地は富田林市ほぼ中央の『富田林駅』向かいにあり、幹線道路『旧国道170 号線』、および重伝建地区に徒歩5分の『本町通り』に面している。
計画ではまず、観光案内にとどまらない催事などの拠点として、都市的創成の観点から、駅前の幹線道路と重伝建への通りを屋内で結合させることにした。特に各通りの性格の違いを尊重するため、各通りのファサードを軒先で区分し、双方の通りに出入口を設けて通りの新たな交差部(Chiasma)を吹抜にした。
用においては、竣工後の多様な催事の実施と更新が求められていた。そこで運営規模を想定し、少人数で運用可能な小さなスペース(エリア)を各階に複数つくり、随所に活動を誘発する仕掛けを施すことにした。これらエリアについては、可動間仕切りで対応する均質な多目的スペースにするのではなく、各エリアの素材や備え付けの家具を変えて異なる性格づけを行った。さらに観光文化の「凝集と発進の場(Node)」であることを意識し、各エリアを吹抜で各通りに結合させた。これにより来館者が各エリアを感知しやすくなるとともに、各エリアが連動する催事運営も可能となった。広い軒下も1階交流スペースと本町通りとの間にあり、交流スペースの建具が全開可能であるため、軒下マーケットと物販コーナーの連動のように一体して使用することも可能である。