Photo by Shinkenchikusha 19床の診療所「メドアグリクリニック」と50床の有料老人ホーム「アグリケアガーデン」からなる福祉医療施設。茨城県の木材を用いた木造平屋で、縦ログ構法と横ログ構法を場所に応じて組み合わせている。写真は「アグリケアガーデン」の食堂・療養室から中庭を見る。縦ログのパネルで天井高4.8mの空間をつくり出している。
Photo by Shinkenchikusha 南西側から見る。高いヴォリュームの縦ログ構法の2棟が向き合う部分に「メドアグリクリニック」(左)、「「アグリケアガーデン」(右)それぞれの入口がある。
Photo by Shinkenchikusha 介護のしやすさを考慮し、ロの字の平面的なまとまりの交差部に設けたアグリケアガーデンのナースステーション。アグリケアガーデンは横ログ構法からなり、天井にはトップライトを設置。
Photo by Shinkenchikusha 縦ログ構法を用いたメドアグリクリニックの機能訓練室。工場組された3タイプのパネルは経年変化で隙間が出てこないように全ネジボルトで緊結されている。
地域の力でつくる木造の福祉・医療施設
この施設は、19床の診療所と50床の有料老人ホームからなる2000㎡にも及ぶ計画である。採算性から効率的な建材が求められる福祉・医療施設の状況の中で、木を活かす工法に建主と取り組むこととなった。伸びやかな大空間となる診療所の機能訓練室と老人ホームの食堂・診療所は縦ログ構法によって計画され、施設全体の軸となる。縦ログ空間にとりつく平屋の居住部分は、横ログ構法としている。
有料老人ホームの居住部分は、入居者の居住環境と介護のしやすさの視点から、一体感のある施設を実現するために、回遊性とグルーピングを重要視した。敷地の形状を活かしながらまとまりや動線・わかりやすさを重視して、中庭を囲み2つのロの字が繋がった配置となっている。居室の連なりを4・6床を基本単位としながら、その間に必要機能や開口を配置して、運営面も意識しながら施設にありがちな単調さをやわらげている。
中廊下の両サイドの居室を中心に界隈性を醸し出せるトップライトを施した広めの廊下と、長屋的な雰囲気で居室が片側に並び突き当りや中庭の開口など抜け感のある廊下といったように、居室との繋がりや採光などに特徴を持たせることで、全体の中での位置関係を把握できる仕掛けとなっている。