, ,

ふたば富岡社屋

復興の魁となる木造

縦ログ構法による事務所建築です。構造については150×150㎜の杉材を縦ログ構造壁として活かし、縦ログのコアに挟まれた吹き抜け空間を執務室としました。縦ログの材料は、施主の先祖が植えた民有林の伐採し製材したものです。海側の通りに向いた地域交流室・多目的スペースは、復興期の富岡でのさまざまな活動を支えるために開放できる配置として、地域づくりに貢献できる場所づくりを目指しています。

建物概要
用途:事務所
延床面積:343.53㎡(2階建)
構造:木造(縦ログ構法)
施工:東北工業建設
設計:はりゅうウッドスタジオ
総工費:

Photo by Shinkenchikusha

Photo by Shinkenchikusha  富岡社屋執務室の吹き抜けを見る。縦ログパネルが2層分となり、約6.1mの吹き抜け空間を構成している。梁、壁共に、富岡産材の材料を使用している。1階においては適度な通風プライバシーを確保しながら、執務室全体としては、木によるトンネル状の空間が街に開くような大開口を設けている。

Photo by Shinkenchikusha  南東側外観。右手に見えるデッキは、地域交流室に面しており、内外が一体で使える場所になっている。

Photo by Shinkenchikusha  執務室東側の縦ログ構造壁をみる。約4.1倍の壁倍率と準耐火性能の大臣認定を取得した1800㎜幅の縦ログパネルを用いた壁面を構成している。

Photo by Shinkenchikusha  富岡社屋2階のフリースペースから、2階執務室吹き抜け、ラボ室を見る。桁上についてはヒノキ化粧合板を用いており、仕上げ材ともしている。

Photo by Shinkenchikusha  東側から地域交流室、多目的スペースを見る。縦ログ壁を利用して外部に開くような設えとした。

Photo by Shinkenchikusha  富岡社屋から、富岡の蔵、木材を伐採した富岡の森、太平洋を望む空撮。少し小高い近くの森から建築材料の大部分を占める木材を切り出した。震災時津波は中央に見える常磐線の土手を乗り越えて波が押し寄せた。今後海側は防災林や堤防がつくられ風景が一変するが、その中に津波に耐えた富岡の蔵が残され、小さな震災以降となる予定である。

復興の魁となる木造
本計画が始まった当時(2015年)に避難区域内の樹木を建築材料として使った例はほとんどなく、町、県、国のさまざまな林業関係機関を回り、素材を砕いて成分検査等を行い富岡町外へ持ちだせるように許可を得たが、地元の林業関係者の間では町外への搬出の是非の議論が起こった。幸いにも富岡の海岸沿いの地域の放射線量の数値は原発事故の直後でも低いところが多く、木材は現地での皮むき作業によってその値が極端に下がったため、いわき市の製材所で製材と乾燥を行い、工期を短縮するために分業体制で建築へと進んだ。
富岡社屋の構造については純粋に150×150㎜の杉材を縦ログ構造壁として活かし、4隅のコアに挟まれた2階までの吹き抜け空間を執務室とした。海側の通りに向いた1・2階の地域交流室・多目的スペースは、復興期の富岡でのさまざまな活動を支えるために開放できる配置として、地域づくりに貢献できる場所づくりを目指した。

PAGE TOP